呼んだ本とか

『赤い額縁』倉坂鬼一郎
呪われた本『THE RED FRAME』を巡って、怪奇作家と新人翻訳家と古本屋開店準備中の吸血鬼たちが猟奇殺人事件に巻き込まれる話
出来は今ひとつだった
著者による世界への恨みを込めた本がいかに禍禍しいかって部分で、


『各文節の頭文字をつなげると〜
さらにその言葉は〜のアナグラムであり、この文章は〜を意味していたのだ!』


とか言われて登場人物がおおいに怯えるのだが頭の中にちらつくのはキバヤシなわけで
翻訳家の女性のパートは良い出来だったな
新人だから仕事を選べるような立場では無い怖がりな女性が、前任者が失踪したという本の翻訳をする羽目になる
身の回りで起こり始める奇妙な出来事
彼女が精神的に追い詰められてゆく過程はよく出来ていたのだけれど後半で一気に出番が減った
代わりに出てくるのが吸血鬼二人組みなわけで、さして恐怖感もないミステリ展開になって終了
部分的には面白かったが、残念だった



で、もう一冊
『ベルゼブブ』田中啓文
ある遺跡から発掘された壷
世を呪う老教授によって壷の封印は解かれ、封じられていた悪意が解き放たれた
こっちは分かり易いスプラッタ
動物園のアイドルだったチンパンジーの口の中に一匹の蝿が飛び込んだ途端、ショーに参加していた子供たちを襲い出したりとかって展開がグロテスクに書き連ねられていく
平和な光景が一転して惨劇の現場に、というのと迫り来る蟲の大群の描写を使った生理的嫌悪感よりのホラー
そこそこ面白くはあるのだけれど、もっと、こう、姿は見えないのに確かに近づいてくる気配、みたいな方面のが僕の性にあっていそうだ



あとは、読みかけだけれど『ホラー小説時評』
面白い
ホラー小説の書評が山ほど載っているだけの本なのだけれど、これは面白い
海外物にも手を出すかなあ