図書館行ったら

今週一杯休館だそうで
今週は再読週間だな
で、和風Wizardry純情派
改めて説明
舞台は現代日本
京都大震災によって地底の大迷宮への入り口が開いてしまった世界
夜毎溢れ出す魔物の処理、及び内部探索するにあたって新たに設立されたのが探索者制度だった
主人公真壁啓一は大学卒業を半年後に控えて内定を蹴り、東京に恋人を残して大迷宮周辺施設、通称迷宮街へとやって来た
自分探しで


「自分探しかよ!」


この話、大きく三つの要素から構成されていて
一つは、普通の一般社会のすぐ隣に現れた死と隣り合わせの街での日常
収入が多かった日には刺身を食べたり、探索に出かけない日はお寺巡りしたり動物園行ったり
探索者たちと酒場で盛り上がったり、女の子から逃げた飼い猫おっかけて一日走り回ったり
そんな当たり前の日常風景がとても面白い


もう一つの要素は恋愛小説として
真壁と、彼が東京に残してきた恋人神野由加里
遠距離恋愛を続ける彼らの間には、ゆっくりとズレが生じてくる
由加里にとってはわざわざ命の危険を冒している真壁が理解できず、不安がつのる
真壁は由加里のことを熱愛しており、真壁のパーティーメンバーである翠は何とはなしに真壁に惹かれる
このありがちな三角関係が、だが見ていてもどかしい
そして迷宮街での出来事を書いているのだから当然翠に関する話の方が圧倒的に多く、読者としては翠を応援したくなるわけで
真壁の周囲の探索者たちが、二人の関係にやきもきしている光景に共感することしきり
ゲージ使っとけ、二本くらい


「おひっこしネタか」


二個ほど見かけたな
で、最後の一つが迷宮探索
当たり前のように人が死ぬ場所
三日に一度の迷宮探索が、この話全体を締まらせているポイントだと思う
作者のコメントによると、主人公である真壁は探索をすると2%の確率で死ぬらしい
これと同様の死亡確率が各キャラに設定されているため、探索のたびに誰が死んでもおかしくはないし、だからこそ平穏な生活が引き立っている
ゴンドラ防衛線とか超燃え



好きなキャラは、
笠置町翠、越谷健二、小林桂、星野幸樹、真壁啓一、真城雪、辺りか


「多いな、おい」


これでも随分削っている
笠置町翠は当然だな
性格とかは勿論として、
笠置町翠からは、ふとした瞬間に恐怖を感じることがある。――あ、今この娘は俺の壊し方を考えている――そう実感する瞬間がたびたびあった』
みたいな津差の台詞もあって、もうたまりません
越谷は真城との絡みが凄くカッコ良い
小林さんは街を出る話とか凄く良かったし、星野もラストバトルのやり取りが燃える
真城は、最近よくみるタイプの超人女で、こいつの話は読んでいて気持ちが良い
そして主人公真壁
こいつが良い奴でさ、やはり一人称の読み物の出来は主人公の性格に拠るところが大きいね