皇国の守護者四巻まで読了

すっげー面白え
英伝を読みにくくして、代わりに戦術や戦略の描写を重視した感じかな
裏をかいたり、裏の裏をかいたり、というだけの戦闘ではない
タイトルと裏表紙の粗筋くらいは知っている、という程度の認知度な気がするので簡単に説明


舞台は<大協約>と呼ばれる世界
大陸の大部分を平定する<帝国>は、その侵略の矛先として東の島国<皇国>を選んだ
圧倒的な兵力を背景に進軍を開始する<帝国>軍に、<皇国>は抗することができるのか?
こんな話


「文明レベルは?」


低い
先込式のマスケット銃が歩兵の主力兵器
胸甲を身につけ、サーベルと銃を装備した胸甲騎兵部隊があったりとか
ダルタニヤンと同じような感じかな
で、この世界ならではの要素が幾つか
<皇国>には剣牙虎(サーベルタイガー)を飼いならした剣虎兵が存在する
こと闇夜の襲撃において銃兵百人に匹敵する圧倒的な白兵戦能力を有する強力な部隊、だそうだ
主人公である新城も、子供の頃から共に育った剣牙虎“千早”を連れている


「千早かよ」


剣虎兵分隊の小隊長虎とかそれぞれ名前がついていて好き
王護、剣姫、鬼哭、青牙、とか
あと、特殊な要素としているのが導術兵
遠距離での相互通信、及び索敵の能力を持つ超能力者みたいな連中
能力を使うと急激に疲労して、あっさり死ぬ
これも<帝国>にはいないな


「理由とかあるの?」


魔女狩りのときに皆殺しにされたそうな
帝国はドイツのノリなので


「…………納得できる話だ」


最後が、龍かな
導術の能力を持つ高位龍族であり、大協約の中で強力な発言権を有する天龍
それほどの知性を持たない野性種である翼竜
この二種が存在する
東洋風の龍と、ワイバーンをイメージすると分かり易いかな
水軍とかは鉄製の軍艦に龍騎兵を積み込んだ龍巣艦なども所持
龍騎兵に関しては<帝国>軍も使用して、戦闘のあり方を一変させたりもしている


世界設定に関してはこんなところかな
主人公は<皇国>軍の新城直衛
顔がよくない、性格もよくない、運も悪い、善人ではない、偉い人間に嫌われている
基本的に快進撃を続けるような話ではないのだよね
途中の村を焼き、井戸に毒を投げ込みながら撤退、みたいな行動をとるし、味方が援護に失敗して村を焼き損ね、どうにもならなくなって降伏したりとか


「戦史物ってそういう感じなの?」


他を知らないからなあ
で、敵側の元帥が<帝国>東方辺境領姫ユーリア
女ラインハルトみたいな生き物
さすがにあそこまで完璧ではない
好きなキャラは新城の副官の天霧冴香……か?
坂東とかの方が好きな気もする




美倉は笑った
「さあ、行ってくれ。この戦は負けかもしれない。しかし、貴官が充分な兵力と共に進めば、すべてを逆転できる。わたしは、貴官が突破を継続する間、側面を支えてみせよう」
新城は何も答えなかった。
「わたしは自分が無能だと知っている」
薄汚れた頬を歪めながら美倉は言った。
「なんとかしたいと何度も思ったが、どうにもならなかったのだ。だからこそ、だ」
新城は敬礼した。
「幸運を祈ります、閣下」
「幸運は君のものだ、少佐」
美倉は答礼した。
「わたしはここで、俸給分の仕事をしようとしているだけなのだ、生まれて初めて」


今のところ一番好きだったシーンはこれか
ペンウッド卿っぽい