ホラーでも読もうと思い立ち

適当に目星付けて図書館へ
借りたい本の半分も置いてなかったな
それなりに人気の薄いジャンルなのかも知れない
ラノベとかなら検索かければ市内のどっかには入ってるもんなんだが


「何で夏の終わりにわざわざホラーを
そもそもホラーとかスプラッタとか好きだっけ?」


実写映画は気持ち悪いので苦手
小説は別段嫌いではないが、S・キング何冊か読んだ程度の浅さ
ああ、クトゥルーも人並み程度には
沙耶の唄』が割合面白かったので適当に手を出してみようかと思った
で、結局借りたのは三冊


『人獣細工』小林泰三
『禍記』田中啓文
『病の世紀』牧野修


最近活字離れしていたこともあって、上二冊一気に読み終えてしまった


「面白かった?」


そこそこは
禍記の方が面白かった
とりあえず『人獣細工』
短編集で『人獣細工』『吸血狩り』『本』の全三篇
『人獣細工』は、体中の臓器を臓器移植用の豚の物と取り替えられた女性のアイデンティティの話
『吸血狩り』は、田舎の祖父母の家に行った8歳の少年が、15歳の従姉に近づく吸血鬼を退治する話
『本』は、小学校時代の同級生から古書を送られた人間が次々と発狂していく話
完成度としては人獣細工が一番だったが、個人的に好きだったのは吸血狩り
最後には吸血鬼の胸に杭を付き立てて終わるんだが、この吸血鬼は実は主人公をからかっていただけの人間なんじゃないか、という気持ち悪さが付きまとう
描写を素直に読めば吸血鬼なのだろうけれど、そんな単純な話か?実は従姉と逢引していただけなんじゃないか?とか考えると途端にね
この気持ち悪さの感覚は実に良い


「……ホラーってそういうのだっけ?」


さあ?
今まで読んだホラーで一番嫌なシーンは、ミザリーに脚切り落とされるシーンだが
さておき『禍記』
こちらも短編集で『禍記』の一、二、三、『取りかえっ子』『天使蝶』『怖い目』『妄執の獣』『黄泉津鳥舟』で全八篇
これといって面白いわけでも無いが、どれもそこそこ面白いからバランスは良い
『取りかえっ子』は緊迫感はあったが落ちがイマイチ好きではないか
『怖い目』はマジで怖い
集落のしきたりだと言って蛞蝓とか食べされられるのはマジ怖い
その結果も怖い


「今度は熱いお茶が一杯怖い」


…………江戸中の蛞蝓が長屋に集められる光景って物凄いブルーになるんだが
まあ、あれだ
蛞蝓を食ってはいけない
ある意味ヨモツヘグリ