あと、登場人物の一人に

元レンジャー部隊の一員だったが某国への潜入任務において捕虜となり、国からは切り捨てられた
半年後どうにか自力で帰り着いたとき、国内で高まっていた潜入任務への反感の矢面に立たされ、
妻は暴漢に襲われて植物人間となって入院
社会全てが信じられなくなり、その優れた能力を用いてアウトロウ街道を突き進んでいる、というキャラクターがいた
格好良すぎだ


で、読み始めた本が
『葦屋家の崩壊』津原泰水
まだ途中だが、これは大当たりだな
関口君っぽい主人公・猿渡と、京極堂っぽい怪奇作家“伯爵”との二人が、美味い豆腐を求めて各地へと旅行をする中で様々な怪奇を体験する短編集
薀蓄に富む伯爵のキャラクター性も勿論だが、語り手である主人公の飄々とした語り口のテンポが良くて実に文章が読みやすい

羊だ天秤だ魚だといったこの地味なラインナップのなかでも、ひときわ暗くて地味な星座が蟹座である。都会ではまず見ることができない。神話におけるこの巨蟹の存在というのがまた地味で、勇者ヘラクレスと九頭の水蛇ヒュドラとの死闘場面をじっくりと読んでみると、途中、ヒュドラへの助太刀のつもりなのかとつぜん現れてヘラクレスの足を挟み声をあげさせ、直後に叩き潰されてしまう、ただ物語の進行を妨害しているだけのような蟹がいて、巨蟹というのはなんとこいつなのだ。
カルキノス、といちおう名前がついている。


「ところがふと考えてみると、母親も妹も弟も七月生まれでしてね、全員が蟹座なんですよ。今はそれぞればらばらに暮らしてますけど、かつては蟹座に完全に方位されていたわけで、おれは前世でよっぽど蟹にひどいことをしたのかもしれない」
ふふ、電話のむこうの伯爵が鼻を鳴らして笑った。


聞き慣れない作者名だったのでちょっと調べてみた
http://www.fukkan.com/group/?no=282
…………X文庫はちょっと、手が出せないというか、何と言うか、どうしたもんか
困ったもんだ